自傷

人はなぜ自分自身を傷つける行為をするのでしょうか。 

もしかしたら、自分を傷つけたり、血を流す行為は、理解されがたい行為かもしれません。「わざわざ、自分を傷つけて痛い思いをするなんて・・・」と。

私の中での「自傷行為」とは、自分を傷つけ、損ない、痛めつける全ての行為を意味します。リストカット、アームカット、瀉血、拒食、過食嘔吐、首絞め、数え上げれば切りがありません。また、ある人にとっては異性との性的行為が他者とのコミュニケーションとして大切なものである一方で、ある人にとっては自分を貶める行為だったりします。

つまり、その人の中でどのような体験、意味づけになっているかによると思います。

どんな場面で、どんな時に、何を思って自傷行為をしたのか。自傷行為の最中や、自傷行為をした後にどのような気持ちになるのか。どんな必要があったのか。

人はどんな行為も多かれ少なかれ、必要があってするものと思います。やむにやまれぬ思いの中で、自傷行為に及んでいるのだとしたら、どれほど苦しいことでしょう。

自分を傷つけずに生きていけるのなら、そうなりたいと考えている人も、自傷行為が日常化している方の中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

無数の傷跡ややせ細った身体などを見ていると、その人の心の中で止まぬ悲鳴が聞こえてくるようです。

自傷行為の奥に、その人の本当の苦しみがあると想像して、お話しをうかがいます。自分を傷つける前に、その苦しみを言葉か、他の何かに変えていただきたいと思います。そうして、苦しみを言葉などにこめていく中で、いつか自傷行為は必要なくなる日がくるのではないでしょうか。自傷に駆り立てる、心の奥底の苦しみを解消する手段は一つではないのですから。