ネット依存について

「何かに頼らないでいられる人がいるのだろうか」と私は思っています。
誰だって、自分ひとりの力だけではやっていけない時があるし、そんな時には何かに助けてもらえばよいのではないかと思います。

依存症の問題は、依存対象が日常生活にまで浸食し、周囲の大切な人や物をも図らずも失う状態にまでなってしまうことにあると私は考えます。

つまり衝動をコントロールできなくなってしまう状態です。

「不幸になりたい人はいない」と基本的に考える私はネット依存を「本人の甘え」「怠惰」という風には考えません。
ネットの世界に助けを求めざる得ない状態であって、ネット依存の問題はご本人の抱える問題や苦しみの氷山の一角に過ぎないと考えています。
「ネットやゲームをやめれば全て解決」というわけにはいかないと考えています。根本的な困難に対処していかなければ、依存対象が変わるだけという場合もあります。

「このまま一生引きこもってネットだけやっていく」と考え、心の底からその状態を幸せと思っている人はほとんどいないのではないかと思います。

苦しんでいるけれど、それを伝える言葉はうまく口にできなくて、周囲に伝える言葉や態度は本心と違えてしまっているのではないかと感じます。

支援者としては、それを本人の本心ととらえてしまうのは、若干早計であり、少し酷ではないかと考えます。
私にはご本人たちがネットやゲームなどの依存対象を片時も手放せない様子は、苦しくてたまらないように見えます。

人の言動のあたたかさが直接伝わり、沈黙も心の交流となる現実の世界に戻ってきてほしいと、ご本人に接するときに切に願います。

そのためにできること、それは画面の向こうよりも現実の世界のほうが、居心地が良くなるようにすることと考えています。

そして、それができるのは、ご家族、またはそれに代わるご本人を大切に思う周囲の方々です。

どうか現実世界でご家族や周囲の人、皆がご本人を待っていることを伝えてあげてください。