ネット依存のご家族にお集まりいただき、家族支援プログラムを行ううちに、「グループの力」というものを強く感じるようになりました。
それは、私一人では決して成しえないものであり、自然とそのグループの中から湧いてくる「それぞれがもつ力を引き出す」ものでした。
「他のご家族がどうされているのかを知りたいです。」「皆さんはこのような体験はありましたか。」
私が促したわけではない中で、自然と参加者の方が自発的に他の方の意見を聞きたいと声を上げます。
そして、アンケートをとると、いつの時でも、参加者のどなたかが「他のご家族の体験がとても参考になった」「色んなご家族があることを知り、勉強になった」「我が家だけに起きていることではないと感じた」など、必ず記入されています。
これらの参加者の方の動きや感想は、私一人でご相談にのっていたら、生じなかったものです。
私はグループの中で、多くのご家族の中で、ただ見守り、皆さんの「心の安全」にだけ配慮してそこに座っているだけでも、このような現象が起きることにとても感動を覚えます。
最初は静かでどこか重たい空気で始まっても、次第に緊張が和らぎ、皆さんの笑顔が時として見られるようになっていきます。
この移り変わりの中にいる時、私は「グループは生きている」と感じます。
毎回参加者の方が違う中で、「今日のグループはどのようになるだろう」と考えます。
「どうか、今日のグループが最後は参加者の方の生き生きとした表情の中で終われますように」と祈る気持ちで開始します。
そんな私の想像や願いをはるかにこえて、皆さんは様々な動きや表情を見せてくれます。
私が願うようなことではなく、私が下手に手出しをしなければ、自然とグループは息づいていくのです。
それぞれ違う家族が、同じようで違う悩みについて、皆で考える。
このことがどれほどご家族の方々を支えるかは、その場にいないとわからないことでした。
そういったグループが少しでも生まれ、それぞれのご家族が孤独に埋没しないように、私は私のできることをしていきたいと思います。