発達障害をめぐる「生きづらさ」の正体

「発達障害」という言葉は、どこか“できないこと”や“困りごと”に焦点が当たりやすい言葉かもしれません。けれど、実際の臨床で出会う方々は、その言葉だけではとても表しきれない、多様で魅力的な存在です。

ただ一方で、今の社会の中では、いわゆる「一般的」とされるやり方や価値観に合わせることを求められる場面が多くあります。
その中で、本来の特性とは別のところで無理を重ね、「なぜ自分はうまくできないのだろう」と感じ続けてきた方も少なくありません。

本当の意味での困難は、特性そのものにあるというよりも、その特性が周囲に理解されないことによって、傷つき、自己肯定感が少しずつ削られていくことにあるのではないかと感じています。

人は、自分のあり方を否定され続けると、本来持っている力や魅力さえ見えなくなってしまいます。

けれど、発達障害の傾向にある方々は、とても魅力的です。
物事を深く考える力、独自の視点、まっすぐさや誠実さ、こだわりの強さが生み出す専門性。そうしたものは、周囲の世界を豊かにする力を持っています。

大切なのは、「どちらかが合わせる」ことではなく、どうすれば共に生きていけるかだと思います。

そのためには、ご本人が自分の特性を理解し、自分に合った生き方を選べること。そして周囲が、その特性を「違い」として理解し、関わり方を工夫していくこと。どちらも欠かせません。

私は、発達障害のある方がこの社会の中で、自分らしさを失わずに生きていくことを支える存在でありたいと考えています。
無理に「一般」に近づくことではなく、その人に合った形で社会とつながっていくこと。そのプロセスを、一緒に考えていけたらと思っています。

そして、その方の持つ魅力が、少しずつでも周囲に伝わっていくことを願っています。